The NOTEBOOK「The NOTEBOOK」(Nicholas Sparks 著)邦題:きみに読む物語 TOEIC:600点レベル以上 これほど深く、強い愛を、これほど静かに描く物語を私はほかに知らない。 ノアは、色褪せることのない思い出に苦しみながら、町のはずれで日々をやり過ごしていた。 その思い出とは、17歳の夏にアリーと分かち合った愛の記憶。 一方アリーも、14年の年月を経た今もノアのことを忘れられずにいた。 結婚を間近に控え、婚約者への愛を感じながらも、それが以前抱いたノアへの想いとは まったく違う種類のものであることに戸惑いを感じる日々。 アリーがノアへ会いに行ったことをきっかけに、二人は再び恋に落ちる。 そして夢のような時間の後、決断の時が訪れる――。 この物語は、老年の男性が愛する女性に日々読み聞かせる話として登場する。 アルツハイマー病のために、男性のことも、自分自身のことも忘れてしまった女性。 彼はその女性に以前と変わらぬ愛を注ぎ、愛が実を結ぶわずかな時間を心待ちにする。 この本の素晴らしいところは、何よりもその心理描写だろう。 アリーを忘れられないノアの苦しみ、ノアに会いに行くまでのアリーの逡巡、決断の時の二人の苦悩。 それらを、まるで見ているかのように思い描くことができるのだ。 それに、物語を「老年の男性によって語られる」という位置づけにした効果も大きい。 二人の強い感情が、ある距離をおいて語られることで丸くなり、本全体として静かな印象を与えている。 そしてこの物語だからこそ、老年の男性が女性に対して抱く愛、その愛が実を結んだときの喜びを 読者に伝えることができるのだろう。 ともすればただのよくある恋愛小説になってしまう話が、著者の手によって心の奥深くに沁みこむ話となっている。 ジャンル別一覧
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